吊り編み機は1950から1960年代に全世界で活躍した筒状に生地を編み上げる編機のこと。編機自体を天井から吊り下げ、糸自体の重さでゆっくりと編み下げられることから、この編機を使った吊り編み生地には余計なテンションがかからずに空気を含んだような柔らかな風合いの生地が生み出されます。
そのものづくりは、高速のシンカー機が1時間で24mのスウェットを編む間、吊り編みではわずか1mしか編むことができないという不効率さ。大量生産・大量消費時代には生産効率を求めて吊り編み機のほとんどが廃棄されました。
現在では世界で唯一和歌山県で稼働するのみ。近年ではセルビッチデニムと同じように世界的な評価が高まっている吊り編みですが、年を追うたびに吊り編み機のメンテナンスが困難となり、年々その希少性は増し続けています。